副業したら所得税はいくらかかる?副業の所得税について
週末や空き時間などを利用して、副業を始めてみたいと思うことはありませんか。しかし、所得税を含めた税金について、どこか不安や疑問を感じていたりして、副業を始められなかったりすることもあるでしょう。特にサラリーマンであれば「20万円まで確定申告は不要!?」などのキーワードも耳にすることがあり、余計に難しく感じてしまいます。そこで、サラリーマンが副業を始めるときの所得税についてまとめてみました。全体像をつかむことで、気になっていた副業を始めやすくなるのではないでしょうか。
副業という枠組みは存在しない!?
本業を持っているサラリーマンが、空き時間などにアルバイトなどで「副業」をしたいと思うことがあるかもしれません。しかし、注意したいのは、本業や副業という枠組みはなく、収入があれば「原則、申告の対象だということ」です。収入の形態によって、10種類に分けられています。その中の1つが、サラリーマンにも馴染みのある「給与所得」です。他にも、株式投資で利益を得ると「配当所得」になり、不動産の賃貸などで利益が出ると「不動産所得」を申告することになっています。
つまり、本業と同じようにどこかに勤めて収入を得れば、「給与所得」として申告する金額が増えることになります。たとえば、週末だけの起業をした場合、そこで得た収入は「事業所得」として扱い、サラリーマンとして稼いだ「給与所得」とは区別されるのです。他にも、懸賞などで利益を得たものは「一時所得」に分類し、年金や印税などがあれば「雑所得」として扱います。どんな形態で利益を得たかに着目し所得の種類を決めるので、本業や副業という枠組みは税制上は存在しません。
副業なら20万円まで申告は不要なの!?
副業といえば、「20万円まで申告しなくても大丈夫!」というフレーズを耳にしたことがあるかもしれません。しかし、すべてのケースで申告が不要になるわけではないのです。そこで、覚えておきたいのは収入と所得の使い分けです。何かをして利益を得ると、それは収入として扱います。しかし、収入を得るために材料費が掛かっていたり営業活動をしたりすると「経費」が必要なこともあるでしょう。所得とは、収入から経費を差し引いた金額です。
「副業で20万円まで申告不要」というフレーズの20万円は、得た金額ではなく、経費を差し引いた所得、つまり純粋な儲けの金額です。たとえば、1000万円の収入があり、経費として990万円が掛かっていれば、純粋な儲けは10万円になります。計算上は、20万円以下になるでしょう。だからといって、実際には1000万円の金額が動いているので、外見からはとても儲かっているなと感じさせます。特に、素人判断で計算すると確定申告が不要になる場合でも、実際にすべての経費が認められるとは限りません。仮に経費のうち30万円の部分が認められなければ、40万円の所得があったことになり申告が必要になるからです。
なぜ、サラリーマンの場合、副業の20万円が申告不要となっているのでしょうか。給与所得を得ているサラリーマンの場合、1月1日〜12月31日までの間に受け取った給与から、会社が「源泉徴収」を行い、代わりに所得税を納めています。つまり、サラリーマンは、給与所得や退職所得以外の所得が20万円までに限って、確定申告の義務を省かれているのです。注意したいのは、事務手続きの煩わしさから義務づけられていないだけだという点でしょう。医療費控除などで確定申告する場合、20万円の所得も申告義務を伴います。20万円までなら、まったく申告しなくてもいいのでありません。
所得税の計算方法とは?
個人の所得額は、10種類ごとに分けられていた各所得額の合計から導きます。その際に、給与所得については給与所得控除が認められていて、最低65万円から所得額に応じて控除金額が増えます。たとえば、年間に180万円の給与所得があった場合、所得控除65万円を差し引き、残りの115万円だけを課税対象として扱うのです。事業所得や不動産所得の場合、必要経費が差し引かれることで課税金額が決定します。控除は他にもあります。一例を挙げると、基礎控除や配偶者控除、医療費控除、社会保険控除などです。所得額からさらに差し引くことになっていて「課税対象となる所得金額」が決定します。子どもを養っている場合や障害を持つ人を扶養する場合など、それぞれのケースに合わせて控除金額を増減させているのが特徴です。
さまざまな控除が差し引かれた後、課税対象となった所得金額に応じた所得税率が決定し所得税も算出されます。そのときに使用されるのが、「所得税表」と呼ばれる一覧表です。平成27年度以降は7段階に分類されています。各種控除後の所得額が195万円以下の場合、所得税率は5%が適用されます。また、所得額が400万円の場合には、税率は20%です。しかし、「控除額」が決められているので、税率20%を掛けた金額から控除額を差し引き、実際の所得額が決定します。
このように、10種類の中から収入の形態によって所得方法が決定し、各種控除を差し引き所得税が導き出されます。サラリーマンが副業を始める際は、まずは希望する副業がどんな所得に該当するのか確かめるといいでしょう。